株式会社Global Career Incubator 代表取締役CEO 井川真一
最終更新:2026年10月29日。本文・参考資料は更新日時点の情報です。

Amazonの行動原則を読み、自分の経験も書き出した。ところがAWS(Amazon Web Services)の求人を見ると、顧客への提案、技術的な判断、事業の成長など、準備すべきことが急に増えたように感じる。何から手をつければよいのか迷っている方もいるでしょう。
AWSへの応募でも、Amazon共通の行動原則を理解し、自分が実際に取った行動を説明する準備は土台になります。そのうえで変えるべきなのは、応募する仕事に対して、どの経験を根拠にし、何をまだ補う必要があるかという準備の重点です。AWSの公式案内も、Amazonの行動原則と過去の経験を説明する練習を勧めています。[1][2]
共通対策に使った時間を、無駄だったと考える必要はありません。ただし、回答が滑らかになったことと、その職務を担える根拠がそろったことは別です。ここを曖昧にしたまま質問集を増やすと、準備を重ねても、本当に足りないものが残ってしまいます。
いま用意している経験を、気になる求人の仕事と並べてみてください。説明を磨くべきところと、別の準備が必要なところを分けると、既にある材料を生かせます。どこに力をかければ準備が進むのか、仕事とのつながりから選んでいきましょう。
練習を増やす前に、止まった理由を一つ決める
自分の話を説明できないと、「もっと面接練習をしなければ」と考えがちです。ところが、練習を繰り返してよい場合と、その前に材料へ戻った方がよい場合があります。限られた時間を使うなら、この違いを見落とさないでください。
私は、応募者自身が次の準備を選べるように、回答が止まった理由と、戻る先を対応させることを勧めます。実際の求人と自分の経験を手元に置き、説明できなかった箇所を次の表に当てはめてみてください。
| 回答が止まった理由 | 先に取り組むこと | 取り組んだ後に見る変化 |
|---|---|---|
| 数字の期間や、自分と他者の担当が曖昧 | 手元の記録で確かめられる範囲を整理する。不明な点は、記憶だけで補わず残す。 | 数字の対象・期間と、本人の行動を分けて話せるか。 |
| 事実は分かるが、話が長く、選んだ理由が伝わらない | 問いへの答えを先に置き、必要な背景と判断理由を続けて話す練習をする。 | 聞き手が、本人が何を選び、なぜそうしたかを言い返せるか。 |
| 職務に関係する技術や仕組みを理解していない | 分からない点を絞り、公式資料などで学ぶ。学習で理解したことと、仕事で実施したことは分けて記録する。 | 用語の説明だけでなく、理解できた範囲と残る疑問を説明できるか。 |
| 求人が求める責任を、この経験では担っていない | 別の実経験を探す。職歴全体でも担っていなければ、応募対象や経験を積む方法を検討する。 | 応募の根拠にできる経験と、今後身につけたい経験を混同せず示せるか。 |
| 選考の形式・言語・準備対象が分からない | 求人番号を添えて、採用担当からの案内や対象職務の準備資料を確認する。 | 確認済みの案内と、まだ回答を得ていない事項が分かれているか。 |
同じ「答えられない」でも、戻る場所は違います。話す順序を直せば伝わる内容に、学習を初めからやり直す必要はありません。記録を見れば確かめられる数字を、何度も暗唱して固めるのも順序が逆です。いま止まっている一か所を選び、先に何を確かめれば、その回答を進められるかを決めてください。
複数の不足が重なっているなら、まず本人が担当した範囲と、記録で確かめられる事実を整理しましょう。その後、職務とのつながりを見て、説明を整えるのか、学習や別の経験が必要なのかを選びます。「面接が苦手」という一言のまま抱え込むより、今日取り組める大きさまで問題を分けることができます。
Amazon共通の準備を、AWSの仕事へつなぐ
「Amazonは行動面接、AWSは技術面接」と分けてしまうと、準備の方向を誤ります。Amazonの公式採用案内には、技術職や非技術職などの職務別資料があり、応募・面接の進め方は職務によって異なると明記されています。Amazon全体の採用案内にも、職務固有の準備があるのです。[3]
共通の基盤となるLeadership Principles(リーダーシップ・プリンシプル、以下LP)は、日々の仕事や問題解決に使われる行動原則です。たとえばCustomer Obsessionは、顧客を起点に考え、信頼を得て保つ姿勢を示しています。[1] 面接の準備では、その名前を回答に入れることよりも、実際に誰の困りごとを捉え、自分が何を変えたかを振り返ってください。
AWSの公式記事が勧めるSTARは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の順で経験を説明する方法です。[2] 話が前後してしまう方には、整理の助けになります。しかし、四つの欄が埋まっていても、「関係者と協力した」「顧客に貢献した」だけでは、本人が引き受けた仕事が見えません。行動の欄に必要なのは、あなたが何を判断し、どう働きかけたかです。
また、過去の行動を説明する準備と、職務に必要な専門知識を使う準備は、片方でもう片方を済ませられるものではありません。技術を理解していても、なぜその判断をしたのか説明できなければ、経験が十分に伝わりません。反対に、話の構成が整っていても、理解していない仕組みや担っていない責任まで説明できるようになるわけではないでしょう。
そこで、準備した回答を一度、求人の仕事へ戻してみてください。「この話を聞いた相手は、私がどの仕事を担えると判断する材料を得られるか」。この問いを置くと、回答の言い直しで補える部分と、別の準備が必要な部分が分かれてきます。
求人の職責を、自分の経験と並べて読む
職種名だけを見て、技術職にはサービスの知識、営業職には売上の実績を用意すればよい、と考えないようにしましょう。2026年10月28日時点の日本・東京の公開求人2件を、担う責任の比較例として取り上げます。ここから勧める経験の選び方はGCIの提案であり、実際の面接質問や配点ではありません。[4][5]
スタートアップ・パートナー担当のSolutions Architect〈ソリューションアーキテクト、以下SA〉は、技術的な関係づくり、設計・連携の支援、技術レビューなどを担います。AWS Marketplaceを通じた販売や事業展開も仕事に含まれています。[4] この職務に向けては、自分が何を技術上の判断として引き受け、その理由をどう説明したかを探してみてください。技術の名称に加え、顧客やパートナーが何を選べるようになったのかまで話せる経験が、準備の候補になります。
自動車・製造業担当のGlobal Account Managerの求人では、顧客幹部との関係、担当顧客への営業戦略、専門担当との連携、商談や契約交渉が挙がっています。クラウドの能力を顧客の技術・運用上の優先事項へつなぐ知識も求めています。[5] 準備するのは、顧客がどの事業判断で迷い、自分が誰に働きかけ、合意や商談をどう進めたかです。技術・法務などの専門担当に任せた仕事と、営業本人が引き受けた仕事を分けてください。
SAの仕事にも事業への視点があり、営業にも技術を顧客の判断へつなぐ仕事があります。「技術職だから技術だけ」「営業だから技術は見なくてよい」と準備を分けると、求人に書かれた責任を取り落としかねません。
職責に対応する話が見つかったら、基本条件と歓迎条件も分けて読みましょう。当該SA求人の基本条件には設計・実装・コンサルティング等の経験があり、営業求人には技術関連営業・事業開発等の経験があります。経験年数や言語条件も各求人に記載されています。[4][5] 一つのエピソードを話せることと、応募に必要な条件を満たすことは、分けて照合する必要があります。
また、今回のGlobal Account Managerは、個人として貢献する職務と明示されています。[5] 「Manager」という名前だけで部下管理を必須と考えず、本文で責任範囲を読んでください。これら2件の条件をすべてのAWS求人へ広げることもできません。職位や担当顧客が違えば、選ぶ経験を見直すことになります。
まだ応募先を絞れないなら、気になる求人の職責から、自分が担いたい仕事を一文ずつ選んでみましょう。会社への関心に、引き受けたい責任を重ねる。その一文があると、用意した経験を残す理由も、別の経験を探す理由も考えやすくなります。
「関係者と協力した」に埋もれた本人の判断
以下はGCIが作成した仮想例です。
法人向けソフトウエア会社で、契約済み顧客からの利用開始申請を受け付けていた担当者の経験を考えます。初めの4週間に受け付けた40件のうち、情報不足で返したものは14件でした。件数は申請単位で数えています。
本人が返戻理由を読み、技術担当に必要な情報を尋ねると、案内書が求めていたのは利用部門の名前でしたが、設定には部門ごとの用途も必要でした。用途の情報が足りない申請も、返戻分に含まれていました。再提出を促しても、顧客が何を書くべきか分からない状態は残る。そう考えた本人は、用途の記入例を案内書へ加える案を作りました。
記入例は技術担当が内容を確認し、業務責任者が改訂を承認しました。本人は顧客の申請担当者と自社営業担当へ説明・配布し、改訂後の4週間も集計しました。40件中6件が、情報不足による返戻でした。
ここで分かるのは、二つの期間の観測値までです。申請者や案件の条件をそろえた比較は行っておらず、利用開始までの時間、売上、顧客満足度への効果も測っていません。実際の設定を担ったのは技術担当で、本人は技術構成・サービスの選択や価格・契約の交渉を担当していません。
最初の答えを、案内書を変えた理由から点検する
練習の問いは、「顧客のために、仕事の進め方を変えた経験を説明してください」です。
契約済みのお客様の利用開始申請で、情報不足による返戻を減らすため、案内書を改善した経験があります。初めの4週間は40件中14件を返していました。関係者と協力して案内書に記入例を追加し、顧客の申請担当者と営業担当へ説明しました。改訂後の4週間は40件中6件でした。私は受付と改善案の作成、説明、件数の集計を担当しました。
この回答を、全面的に作り直す必要はありません。仕事の場面、前後の数字、本人の担当は入っています。ただ、なぜ案内書を変えることにしたのかが省かれています。これでは、他の人が考えた改善を実行したのか、本人が返戻の理由を調べて提案したのか、聞き手には判断しにくいでしょう。
同じ問いへ、調べて提案したことを戻して答える
私は、契約済み顧客の利用開始申請の受付を担当していました。初めの4週間で40件中14件を情報不足で返していたため、顧客が何を書けばよいか判断できる案内に変えたいと考えました。
返戻理由を読み、技術担当に設定に必要な情報を確認すると、案内書は利用部門の記入を求めていましたが、担当者には部門ごとの用途も必要だと分かりました。用途の情報が欠けた申請も返戻分に含まれていました。再提出を促すだけでは、顧客が書く内容を判断する材料が変わらないと考え、私は用途の記入例を作りました。
記入例の内容は技術担当に確認し、業務責任者の承認を得ました。そのうえで、私から顧客の申請担当者と営業担当へ説明・配布しました。実際の設定は技術担当の仕事でした。
改訂後の4週間を私が集計したところ、40件中6件が返戻でした。ただし、申請者や案件の条件をそろえた比較は行っていないため、減少のすべてが改訂による効果だとは確かめていません。利用開始までの時間や売上への効果も未測定です。私が担当したのは、受付で見えた問題を調べ、案内の改訂を提案し、関係者への説明と改訂後の集計まで進めた範囲です。
ご自身の経験でも、「関係者と協力した」と書いた箇所から、返戻理由を調べたことや、技術担当に必要情報を確かめたことを取り出してみましょう。案内書を変えた理由が伝われば、単なる受付作業の報告から、本人が考えて改善を提案した説明へ進めます。
最初の答えでは「関係者と協力した」に収まっていた部分が、返戻理由を調べた本人、内容を確かめた技術担当、承認した業務責任者に分かれました。数字を強くしたのではなく、誰が何を判断したかを聞き手が追えるようにしたのです。長い回答は、その根拠を確かめるために使えます。
口頭の最初の答えは、次の長さから始めてみてください。
利用開始申請の受付で、案内書の「利用部門」と技術担当が必要とする「部門ごとの用途」の違いを調べ、用途の記入例を提案しました。技術担当の確認と業務責任者の承認を得て、私が説明・配布と集計を担いました。返戻は各4週間40件中14件から6件でしたが、条件をそろえた比較ではなく、改訂だけの効果とは断定していません。
「なぜ再提出を促すだけでは足りなかったのか」と聞かれたら、案内書と必要情報の違いへ戻れます。「減少はあなたの効果か」と聞かれたら、観測値と因果の違いを説明できます。短くしても、追加質問に答える根拠を手放さないことが重要です。
ご自身の経験では、当時ほかの方法と比べた記録がないこともあるでしょう。その場合は、比較したことにして話を整えず、当時の判断と、今なら確かめたいことを分けてください。この例で返戻理由の内訳や申請条件の違いをさらに調べるとしても、それは今後の確認案であり、当時済ませた分析ではありません。
それでも、この一件から技術構成を選んだ経験や、契約交渉を進めた経験が生まれるわけではありません。ここが、本稿で準備を分けたい理由です。説明の改善で取り戻せるのは、実際にした仕事の中身です。担っていない仕事は、別の経験や今後の取り組みとして考えましょう。
答えを直した後に残る、応募準備の一件
回答が伝わるようになったら、最初に選んだ求人の一文へ戻りましょう。受付担当者の例なら、必要情報を調べ、他者の専門性を借り、顧客への案内を変えた行動を説明できます。技術上の設計判断を求める職責に対しては、別の経験を探す必要が残ります。
この違いを、読者自身の準備メモにしてください。何となく「SA向けの勉強を増やす」と書くより、何の根拠を探すかまで書いた方が、取りかかる作業を選べます。上の担当者が本文のSA求人を検討するとしたら、次のように残せます。
応募先の仕事: スタートアップ・パートナーの設計を技術面から支える仕事。[4]
この経験で示せること: 設定に必要な情報を調べ、顧客が記入できる案内へ変えた。技術担当への確認、責任者の承認取得、説明・配布と集計を本人が担った。
別に根拠を探すこと: 技術構成を比較・選定した経験。案件に参加しただけでなく、本人が何を比較し、提案したかが分かる記録を探す。
今日取り組むこと: 他案件の提案書や設計の検討記録を見て、自分が判断した箇所を一つ取り出す。該当する経験を見つけられなければ未確認のまま残し、求人の基本条件と今後の経験づくりを検討する。
このメモは、別の経験があると決めたものではありません。まず何を探すかを決めています。見つかった記録が、他の担当者の判断を自分が説明しただけのものなら、その役割で記録してください。説明した経験にも意味はありますが、比較・選定した経験と同じには扱えません。
営業求人を選ぶなら、探す記録も変わります。顧客の意思決定や商談に、本人がどう働きかけたかを確認できる提案書や合意記録が候補です。[5] 受付案内の改善を消す必要はありません。顧客と技術担当の間をつないだ経験として残したうえで、営業責任を説明する別の根拠を組み合わせられるか考えてください。
自分のメモを作ったら、同じ「顧客のために仕事の進め方を変えた経験」という問いへ、もう一度答えてみましょう。練習相手には、最初と修正後の両方を聞いてもらい、「本人が何を選び、なぜその案にしたと伝わったか」を確かめてください。一人で取り組む場合は回答を残して見比べ、主語が本人からチーム全体へ入れ替わっていないかを読み直せます。録音はそのための方法の一つです。
見るのは短さだけではありません。省略していた根拠を言えるようになったか、数字の対象・期間が変わっていないか、求人に対して別に探す経験が明確になったか。この三つを分ければ、説明が前進したことと、まだ残る準備を同時に捉えられます。使える経験まで否定して、すべてをやり直す必要はありません。
どの回答を残し、何から補うかで迷う場合は、求人とこの準備メモを基に、GCAP AWSへ相談できます。GCIは応募職務に応じた経験の選定、本人の判断や顧客への働きかけの整理、追加質問への応答を支援しています。職種を決めきれていない段階でも、担いたい仕事と現在の準備課題をお聞かせください。回答が完成していなくても、止まった箇所が相談の材料になります。
日程が決まったら、求人番号と案内へ戻る
志望する求人がまだ決まらない段階なら、まず候補どうしの担当責任を比較しましょう。応募先と選考日程が定まっているなら、求人に直接つながる経験の説明と、採用担当から案内された課題を優先してください。日程が迫っていても、担っていない経験を回答の工夫で補えるようにはなりません。
基本条件を満たしているか判断できないときは、自分に都合よく歓迎条件へ読み替えないでください。経験の内容を正確に示し、どこが判断しにくいのかを採用担当へ確認する準備が必要です。別の職務を検討することや、今の仕事で責任を広げる機会を探すことも、今後の選択肢になります。
選考の形式についても、他国の体験談や、別の職位の案内をそのまま予定表にしないようにしましょう。公式案内は職務による違いを明記していますが、本稿で参照した資料だけでは、あなたの応募先の回数、実施方法、使用言語、追加課題までは確定できません。[3] 技術職だから必ず同じ試験、営業職だから専門的な確認はない、という準備は避けてください。
採用担当へ確認できる段階なら、たとえば次のように、対象を絞って尋ねられます。
求人番号○○の選考について、現時点で案内可能な実施形式、使用言語、事前に準備すべき課題や公式資料を教えていただけますか。
これは出題内容を求めるためではなく、準備の前提をそろえるための確認です。求人上の業務言語と、個別の面接で使う言語も、同じだと推測せず分けておきましょう。英語での説明が必要と分かったら、既に整理した経験をその言語でも説明し、追加質問に答える練習へ進みましょう。英語の言い回しを整えるために、責任範囲や成果の強さを変えてはいけません。
確認を依頼したことと、返答を得たことも分けて残してください。案内待ちの項目があっても、手元の記録を調べて本人の判断を説明する準備は進められます。一方、課題の形式が分からないまま、別職種の対策に時間を使い切るのは避けたいところです。
今日の準備を終えるときには、求人の一文に対し、使える経験、別に確かめる根拠、次にする作業が書けているかを見てください。すぐに埋まらない不足があっても、その名前と戻る先が分かれば、準備を選び直せます。これまで担ってきた仕事を丁寧に説明しながら、次に引き受けたい責任へ近づくための一件を進めていきましょう。
参考資料
参照時点:2026年10月28日。求人はこの時点の職務比較例です。各資料の個別の公表・更新日は表示から確定できないものがあり、過去の要件を示す資料としては用いていません。応募前に公式求人ページで最新の募集状況と条件を確認し、不明点は連絡の取れる採用担当者に尋ねましょう。
- Amazon — Leadership Principles
- AWS — 10 ways to excel in your AWS in-person interview
- Amazon — How We Hire
- Amazon.jobs — Startup Partner Solutions Architect, Japan Startups, AWS/Job ID 10541381
- Amazon.jobs — Global Account Manager, Automotive & Manufacturing, AWS/Job ID 10538559
