株式会社Global Career Incubator 代表取締役CEO 井川真一
最終更新:2026年10月29日。本文・参考資料は更新日時点の情報です。

採用担当の仕事が回らない。候補者への連絡も、現場への確認も遅れている。その状況で、外部の手を借りたいと考えるのは自然です。担当者の頑張りだけで乗り切ろうとしないことも大切です。
ただ、いまの仕事をそのまま外へ渡す前に、会社の側で止められる作業と、変えるべき判断を確かめてください。使われない表への転記や、返答のない承認依頼の催促まで増やしても、採用を前へ進める条件は整いません。私は、外部へ任せる範囲を考えるときこそ、会社が残している負担の中身を見たいと考えています。変えられる仕事を見直す間の負担も引き受け、その後に残る不足へ支援を使っていきましょう。
週16時間を、仕事の中身へ戻してみる
以下はGCIが作成した仮想例です。
ある企業の採用担当は他業務と兼務しており、採用運営へ使える時間は週12時間でした。直近の一週間について、同じ対象業務の実作業時間を重複なく記録すると、合計16時間でした。
| 作業 | 記録した時間 | 確認したこと |
|---|---|---|
| 複数の報告用表への転記 | 4時間 | 同じ情報を別形式へ入れ直している |
| 社内の判断を求める連絡と催促 | 4時間 | 判断する時間と担当が曖昧な依頼がある |
| 面接日程の調整 | 3時間 | 候補者と面接官の予定をそろえる実務 |
| 候補者への案内・質問対応 | 3時間 | 選考を進めるために必要な連絡 |
| 正式な進捗記録の更新 | 2時間 | 判断と次の行動を残す作業 |
| 合計 | 16時間 | 使える12時間に対し、4時間分が超過 |
経営者の皆さんなら、この差を見て何を依頼しますか。外部へ渡したい仕事、社内で変えること、見直す間の不足を引き受ける人を、一度、手元に書いてみてください。「週4時間足りないので、4時間分を採用代行へ出す」という案でも、まずはそのまま残して構いません。どの情報を見れば、その案を選び直せるかが大切です。
採用担当が忙しくしていても、時間の使い道は同じではありません。候補者と面接官の予定をそろえる作業と、返答のない判断依頼を繰り返す作業では、減らせる条件が違います。表の催促4時間は、連絡の作成や確認に使った実作業時間です。回答を待った経過時間を、そのまま4時間の作業として数えたものではありません。
この企業も、超過分を委託する決定の前に、転記と催促が何のために発生しているかを調べました。
転記を減らす合意と、13時間で回ることは別に確かめる
報告用の表を確認すると、3時間分に当たる重複した転記は、元の記録を参照する形へ変えられると分かりました。採用担当だけで表を削除せず、報告を受ける責任者と、必要な情報と形式を合意しました。残る1時間は、会議で必要な集計として続けることにしました。
この変更案で、同じ業務量を前提にした通常作業は、週16時間から13時間になると見積もっています。合意したのは、転記の方法を変えることです。変更を実施して3時間減ったという記録は、まだありません。採用責任者は、案を合意した日、実施した日、実施後にかかった時間を別々に残してください。
しかも、13時間は担当者の12時間に収まっていません。重複を見つけられたことは前進ですが、それだけで社内対応を決めると、残る1時間を同じ担当者が抱えることになります。
見直しの打合せ、設定、手順を確かめる時間も、通常作業の13時間には含めていません。改善を求める側が、この着手の時間まで確保する必要があります。忙しい担当者へ「まず効率化してください」と返すだけでは、外部を使うか考えるための余力も生まれません。
催促を減らすなら、判断する側にも時間を置く
次に、4時間の催促の内訳を見ました。書類の判断担当が不明な案件と、担当は決まっていても、確認する時間が置かれていない案件がありました。採用責任者は、現場の判断担当と確認の時点をそろえる案を作りました。
ここで、外部へ催促を任せれば、採用担当が使う時間は移せるかもしれません。ただ、現場が採否を決めない状態や、募集条件がそろわない状態は残ります。会社の返答を変えずに催促する人を増やしても、候補者へ返す判断は準備できません。採用責任者は、決める人が必要な材料を受け取り、判断する時間を置けるかまで確かめてください。
「担当と確認時点を決めれば、催促を週2時間減らせるはず」と見込みを置く場合も、実測した削減時間には含めません。実際にどれだけ減るかは、変更後の記録で見ることになります。現場が判断に使う時間そのものも消えません。その仕事を誰が引き受けるかを曖昧にしたまま、採用担当の作業だけが減る計画にしないことが重要です。
相手が答えられない理由が、担当や時間ではなく、判断材料の不足にある場合もあります。そのときは催促の頻度より、何の情報を誰が用意するかを直す方が先です。作業名に「催促」とあるだけで、すべて同じ方法で減らせるとは考えないようにしましょう。
試す一週間を、担当者の超過で支えない
仮想例では、転記の変更後も通常作業は週13時間と見込まれます。採用責任者は、担当者が使える12時間との差を埋めるため、試行中は1時間分の報告整理を一時的に引き受け、自身の仕事も調整することにしました。見直しの打合せや設定に使う時間は、これとは別に確保します。
この分担で、会社全体の作業が1時間減るわけではありません。見積もった通常作業13時間のうち、採用担当が12時間、責任者が1時間を担うという移管です。責任者の予定が埋まったままなら、別の仕事の遅れへ不足を移すだけになります。誰の何を調整して時間を空けたかも、分担と一緒に決めてください。
暫定の引受けを始める前に、終えるか続けるかを判断する日を置きます。この企業で一週間を最初の区切りにするなら、試行開始日と、その一週間後に担当者と責任者が記録を持ち寄る日を、開始前に予定へ入れます。見るのは、両者が同じ対象業務へ使った時間、候補者への案内の遅れ、正式な記録の欠けです。
前週より時間が減っていても、応募や面接の件数が少なかっただけかもしれません。対象業務と件数の違いを添え、転記の方法が実際に変わったか、社内の判断が予定した時点で返ったかも調べます。時間だけを減らすために必要な連絡や記録を省いていれば、採用運営の改善とは扱えません。
一週間後、責任者が引き受けた報告整理を戻しても、担当者が必要な仕事を12時間内で担え、案内と記録も保てる見通しが立てば、暫定分担を終える案を考えられます。担当者の時間が収まっても、責任者の仕事が押し出されているなら、引受けをそのまま恒常化せず、別の担当の追加や外部支援を再協議してください。継続を選ぶ場合も、引き受ける範囲と次に見る日を決めます。
この一週間を待てないほど案内が遅れる場合は、その時点で体制を組み直す必要があります。試行期間を決めたことは、超過を我慢するよう担当者へ求める理由にはなりません。
必要な実務が残るなら、外部へ頼む範囲を選ぶ
見直しても、日程調整や候補者への連絡が、継続して使える時間を超えるなら、その実務を外部へ依頼する理由になります。専門性が必要な仕事を社内で担えない場合は、作業時間とは別に、どの能力を補うかを考えてください。
当面の不足が小さく、社内の役割変更で無理なく対応できるなら、今すぐ委託しない選択もできます。外部へ渡すための準備や確認にも時間がかかるからです。ただし、「担当者が何とかしている」を、余力がある証拠にしないでください。会社が確保した時間の中で、必要な案内と記録を続けられることが判断の土台です。
次の募集増が決まっている場合は、現在の一週間だけで決められません。増える業務と期間、社内の対応可能量を見積もり、試行と並行して外部へ相談する選択もあります。委託先が必要な時期に、求める範囲を担えるかは具体的に確かめます。社内改善の結果が出るまで、支援の検討も止める必要はありません。
採否の判断が返らないことが中心なら、運営を委託する場合も、会社側の判断体制を整える課題は残ります。外部へ相談するときに、そこを隠さず共有してください。必要な実務を任せることと、会社が決める条件を変えることを、並行して進められるかが大切です。
最初の委託案に、判断の根拠を戻す
工数表を見たときに書いた回答へ戻ってください。委託候補の4時間に、止められる転記を含めていなかったでしょうか。催促が減る見込みを、既に減った時間として引いていなかったでしょうか。試す間の1時間と、設定・確認の時間を引き受ける人は書けているでしょうか。
この三点を点検したうえで、同じ企業について、いま社内会議へ出す案を書き直してみましょう。募集増や、責任者が暫定の1時間を確保できないという条件が加わったら、どの部分を選び直すかも添えてください。
転記を週3時間減らす変更案は合意済みですが、まだ試行前です。同じ業務量で通常作業を週13時間と見込み、担当者が使える12時間との差は、採用責任者が報告整理を暫定的に引き受けます。着手に必要な時間も別に確保します。試行開始から一週間後に、両者の実作業時間と候補者対応、記録の状態を見て、暫定分担の終了、担当の追加、委託範囲を選びます。予定を超える負担や案内の遅れが続く場合は、その前でも体制を再協議します。募集増が決まっているなら、増える仕事と期間を見積もり、外部の受入れ可否の確認も並行します。
最初の回答と比べると、委託をするかどうかだけでなく、会社が先に変える仕事、残る負担、判断を変える条件が見えるようになります。もし最初から委託が必要だと考えていたとしても、同じ結論を保って構いません。必要な候補者対応が社内の時間を超えるなど、その結論を支える仕事と条件を説明できるかを見てください。
外部へ相談する際も、この再回答と、現在の作業記録を使えます。合意した案、まだ試していないこと、実施後に測れたことが分かれば、依頼する範囲を過大にも過小にもせず相談できます。まだ一週間の記録がない会社は、まず使っている作業一覧で、重複転記、催促、必要な候補者対応を分け、次の一週間に実作業時間を残すところから始めてください。
委託を見送る場合にも、募集数や面接の調整件数が増えたとき、兼務する別業務が重くなったとき、案内の遅れや予定時間の超過が続いたときに、採用責任者が体制を見直すと決めておきましょう。採用担当が限界を訴えてから考え直すのでは遅くなります。担当者が必要な仕事を続けられる条件を、経営側も記録から見ていくことが重要です。
委託する範囲を決め切れていないときは
採用代行を使うか迷う場合は、現在の作業と使える時間、社内で合意した変更案、今後の募集予定をお聞かせください。変えられる負担と、外部へ任せたい実務がまだ混ざっていても、課題と進め方を考えるところから相談できます。
GCIの採用コンサルティング・採用代行は、採用の設計と実行のうち、課題に応じた範囲を支援します。企業向け相談フォームから、分かっていることと判断に迷う点をお知らせください。初回相談で課題を伺い、調査・分析・報告を伴う診断を行う場合は、対象・成果物・費用を提案し、合意後に開始します。
